めぐる冒険

 





 ある点とある点をつなぐ媒介物としての役割を持つ場所というのは往々にして存在する。時にそれは具体的に、時にメタフォリカルな存在として人の心象に現れる。気にも留めなかった一箇所がある日を境に崩壊し出すと白煙が風に流されるのをただじっと見ているしかない。自分自身が作り上げてきた細やかではあるけれど関係性と呼べるようなものが次々と連鎖的に崩壊を始めていきそうだった。このまま全てが終わって、全てが初めからなかったことになるのではないかという訝しい心持ちになる。一方で、消失した存在は不思議なことにその存在性を存分に輝かせていた時よりもさらに輝きを増していく。もう見ることも触れることもできない存在は確かに僕の中に取り込まれ身体を形成する臓器としての働きを忙しなく始める。有限性を持つものがその役割を終えた時、無限性を持って有限性を持つ存在者の中に否応なしに入り込む。

		
目次