「朝の火」という映画を見に京都の出待座に足を運んだ。
平成と令和の間に生きる人々の孤独を描いたモノクロ映画だ。
大阪でも上映していたみたいだったけど、映画を知った時にはもう上映は終わっていた。
ごみ収集作業員や、女子高生、バスの運転手など、孤独を抱えた登場人物が描き出される。
静かな映画だったけど、彼らの孤独と僕の孤独が良い具合に重ね合わさる映画だった。
僕を含めて映画を見にきたのは3人だけだった。
3人とも出町柳駅に帰る予定だったので、一定の間隔を保ちながら、仲の悪い家族みたいに駅まで歩いた。
雨が降ったせいで、鴨川の水量も増えていた。
川のほとりで、20人くらいの学生たちがギターを弾いて宴会をしていた。
話し声やギターの音色は川音にかき消されてしまっていたが、楽そうな表情だけが窺えた。
学生時代に住んでいた下鴨の家に帰りたくなった。
10/5 gel